雨漏りの原因を調べていたら、「ルーフィングシート」というキーワードにぶつかった方もいるかもしれません。
ルーフィングシートは、建物を雨水から守ってくれる、非常に重要な役割を担っているパーツです。
もし、雨漏りの原因がルーフィングシートにあるのなら、なるべく早い対応を行ったほうが無難と言えるでしょう。
ただ、普段は目に見えない部分にあるため、ルーフィングシートのことをほとんど何も知らないと言った方がほとんどだと思います。
そこでここでは、見えないところで雨漏りから生活を守ってくれている、ルーフィングについて紹介していきましょう。
目次
ルーフィングシートとは
ルーフィングシートとは、屋根の裏側に取り付けられている防水のためのシートのことです。
業者によっては、防水シートと呼んだり屋根下葺材と呼んだりしますが、全て同じ物を指しています。
住宅の屋根は3層構造になっており、内側から屋根下地、ルーフィングシート、屋根材という順番で取り付けられています。
屋根下地は基本的に木材で水分に非常に弱いので、ルーフィングシートの部分で確実に雨水の浸入を食い止める必要があるのです。
もし、屋根下地まで雨水が達してしまうようなことがあれば、雨漏りに発展してしまう可能性もあります。
ルーフィングシートは外から見ることはできませんが、見えないところで雨水から私たちの暮らしを支えてくれている非常に頼もしい建材なのです。
ルーフィングシートの役割
住宅には雨水の浸入を確実に防ぐために、屋根に2段階の防水層が設けられています。
外から見える屋根材の部分と、その下にあるルーフィングシートですね。
一見すると、屋根材だけあれば雨水の浸入は防ぐことができそうですが、防水はそんなに甘いものではありません。
屋根材だけで雨水の浸入を食い止めることは不可能に近く、ルーフィングシートがなければ雨漏りが発生する可能性が高くなります。
実は屋根には湿気や浸入した雨水を外に排出するため、意図的に隙間が設けられています。
この隙間がなければ、湿気がこもってカビが生える原因となったり、雨水が溜まって木材が腐食したりする不具合を起こしかねません。
ただ、雨が降っている状態では、この隙間からも雨水が浸入するおそれがあります。
そこで内部にルーフィングシートを施工しておくことで、建物の内部にまでは雨水が浸入しないようにできているのです。
つまりルーフィングシートは、雨漏りを防ぐための最後の砦ということができます。
ただし、ルーフィングだけで大量の雨水を防ぎきることもできません。
屋根材の機能とルーフィングシートの機能が合わさってはじめて、雨漏りを確実に食い止めることができるようになります。
ルーフィングシートの種類
ルーフィングシートにもいくつかの種類があり、素材や構造はまちまちです。
もちろん耐用年数や金額も異なるため、あなたが求める機能や予算に応じて最適な物を選ぶ必要があるでしょう。
ルーフィングシートには、主に以下の3つの種類があります。
アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングは、ルーフィングシートの素となる原紙にアスファルトを染み込ませ、鉱物質粉末を表面に付着させたものです。
アスファルトは、道路にも使われているのでおなじみですよね。
アスファルトは防水性が高い素材のため、ルーフィングシートの役割をしっかりと果たしてくれます。
アスファルトルーフィングは値段が比較的安いため、最も一般的なルーフィングシートとして使われています。
ただ、値段が安いルーフィングシートなので、性能はそれなりと言わざるを得ないでしょう。
寿命は10年程度となっており、劣化による雨漏りには注意が必要です。
改質アスファルトルーフィング
改質アスファルトルーフィングは、アスファルトに合成ゴムや合成樹脂を配合して、防水性能を向上したルーフィングシートです。
ゴムを混ぜ合わせているため、ゴムアスファルトルーフィングとも呼ばれます。
ゴムによる伸縮性があるため、釘やタッカーによって生じる穴からの漏水を防ぐことができます。
また、高温に対してはダレにくく、低温に対しては割れにくいため、幅広い地域で力を発揮できるルーフィングシートとなっています。
アスファルトルーフィングを単純に強化したものが、改質アスファルトルーフィングです。
防水性、耐久性、寿命のいずれもアスファルトルーフィングより優れるため、雨漏りから長期間建物を守ってくれることでしょう。
後々のメンテナンスを考えると、改質アスファルトルーフィングを選んでおくほうが無難といえますね。
高分子系ルーフィング
高分子系ルーフィングは、アスファルトの代わりに合成繊維などが原料として使われています。
アスファルトを使用しない分、軽量ということが最大の特徴です。
軽量ですが性能に関しては、改質アスファルトルーフィングに比べて遜色ありません。
しかも、高分子系ルーフィングは、使用する素材により様々な特性が付加されています。
透湿性の高いルーフィングシートや遮熱性の高いルーフィングシート、日本瓦専用のルーフィングシートなど様々な種類が販売されているので、用途や欲しい機能に応じて選択できます。
中でも透湿性の高いルーフィングは、近年注目を集めつつあります。
このルーフィングには、外からの雨水をしっかりと防いだ上で、内部の湿気を外に逃がす効果があります。
下地材周辺に湿気がこもらないので、より腐食を抑える効果に期待が持てるようになるのです。
下地の腐食を長期間防ぐことができれば、それだけ住宅の寿命を延ばすことができます。
近年では、一つの住宅に長く住み続けるという考え方が広まりつつあるので、今後活用される機会の多くなるルーフィングシートとなるかと思います。
透湿防水ルーフィング
透湿防水ルーフィングは、湿気を逃がす性能を持ったルーフィングシートです。
湿気は家にとって大敵です。
湿気が籠った状態が続くことにより、骨組みである木材などの劣化に繋がり、お家の耐久性が下がってしまいます。
透湿防水ルーフィングを使うことで、家の中の水蒸気を外に逃がし、屋根の湿気も屋内に籠りにくくなるので、屋根やお家そのものの老朽化を防ぎます。
濡れても乾燥しやすいという特徴もあるので、木造住宅や高気密高断熱住宅に向いています。
粘着層付きルーフィング
粘着層付きルーフィングは、貼付け面が粘着シートになっているタイプのルーフィングシートの総称です。
通常ルーフィングシートは「タッカー」というホッチキスのような道具で下地に貼り付けますが、粘着層付きルーフィングの場合はそのまま下地に貼り付けられます。
屋根材との密着性が高まることにより、高い防水性を発揮します。
また、屋根カバー工法の場合は屋根に直接防水紙を設置しますが、屋根材が剥離しているなどの場合は防水紙の設置が困難になります。
しかし、粘着層ルーフィングを使えば屋根材にもしっかり密着させることができます。
一度張ってから貼り直すこともできる「遅延粘着型」の粘着層ルーフィングもあり、施工がしにくい複雑な形状の屋根や急勾配の屋根に有効です。
不織布ルーフィング
不織布ルーフィングは、原料に不織布が使われているルーフィングシートです。
近年注目を集めていて、施工件数が増えており人気があります。
ルーフィングシートの貼り方
ルーフィングシートは、屋根の下地材に貼り付けるように施工します。
その貼り付け方にも2つの種類があるので、ここで詳しく紹介しておきましょう。
タッカーで留める
ルーフィングシートは、タッカーと呼ばれるホッチキスのような道具で下地の木材に貼り付けていきます。
これはつまり、ルーフィングシートに穴が空いてしまうということです。
穴が開くなら、雨水がそこから漏れてこないか心配になってしまいますよね。
しかし、基本的にはタッカーで下地材を貫通するようなことはありません。
また、時間の経過と共に太陽熱でルーフィングの一部が溶け、タッカーの穴をふさいでくれます。
そのため、雨漏りがタッカーによる穴から発生する可能性は、そこまで高くないと考えていいでしょう。
ただし、タッカーを正しく使うには高い技術力を必要とします。
屋根には勾配がつけられており水平ではないので、直下に打ち付けるのが意外と難しいのです。
タッカーを直角に打ち込むことができず、一部が浮いた状態になってしまうと、その穴から雨水が浸入する危険性は増してしまいます。
また、タッカーを強く打ちすぎた場合は、シートを傷めてしまう危険が高まります。
こうなるとルーフィングが破損する可能性があり、雨漏りのリスクを高めることになってしまうのです。
粘着型のルーフィングシートを利用する
ルーフィングシートを取り付ける上で必要なこととは言え、穴を開けてしまうのは好ましいこととはいえません。
そこで、ルーフィングシートの中には、初めから粘着テープが片面に取り付けられているものがあります。
これなら、シールのように貼り付けるだけで、ルーフィングシートを設置できるというわけです。
穴を一切開けずに施工できるので、防水性能はタッカー留めよりも高くなります。
また、穴が広がり破れに発展する危険もないため、ルーフィングシートがより長持ちする効果にも期待ができるでしょう。
ルーフィングシートは屋根材によって貼り方が違う
使用する屋根材によってもルーフィングシートの貼り方が異なります。
それぞれ見ていきましょう。
新築・屋根葺き替え
新築や屋根葺き替えの際は、野地板(構造用合板・ラーチ合板)にタッカーでルーフィングを貼ります。
屋根カバー工法(ノンアスベスト屋根材)
屋根カバー工法の際は、スレート屋根の上にルーフィングを貼ります。
スレート材には、タッカーが効きません。
そのため、釘やビスで留めていくか、粘着タイプのルーフィングを使うかの2パターンになります。
なるべく屋根に穴を開けたくない場合は、粘着タイプのルーフィングを使用します。
粘着タイプのルーフィングは、釘やビスで固定する必要がなく、屋根材との密着性が高まることにより高い防水性を発揮します。
屋根カバー工法(アスベスト含有屋根材)
上記と同じ屋根カバー工法でも、アスベストが含まれている屋根材には、粘着タイプのルーフィングは使用できません。
1990年後半以前に各メーカーから製造・販売されていた屋根材には、ほぼアスベストが含まれています。
アスベストとは、1995年頃から建築資材などの強度を高める目的で多く使用されていました。
しかし、アスベストを吸い込むと健康被害を及ぼすことがわかったことから、特別管理産業廃棄物に該当し、廃棄には厳しい基準が定められています。
上記のことから、アスベストが含まれているスレート材に粘着式のルーフィングを使用してしまうと、防水シートとスレート材が剥がれなくなってしまい、住宅を解体する際にアスベストのみを産廃処分できなくなってしまうため使用できません。
アスベスト含有の屋根材の場合も、スレート材の上にルーフィングを貼ります。
野地板の時のようにタッカーでは、留められませんので「エア釘打機(鉄砲)」という電動工具を使い、釘で留めて貼っていきます。
釘に鋼板チップをかませることでシートをスレート屋根に固定する力が増します。
ルーフィングシートの劣化を確かめるには?
ルーフィングシートにも寿命があるので、劣化すれば取り換える必要があります。
しかし、ルーフィングシートは屋根材の裏側に施工されている建材なので、外から見て劣化の状況を確認できません。
そのため多くの場合は、雨漏りなどの不具合が発生してはじめて、ルーフィングの劣化に気がつくことになります。
雨漏りが発生してしまっては、生活に支障が出てきてしまいますよね。
そこで、ルーフィングの劣化にいち早く気づき、適切なタイミングでメンテナンスを実施する必要があります。
ルーフィングシートの寿命の目安は、一般的なアスファルトルーフィングで10年程度です。
新築時にルーフィングシートまで指定していることはほとんどないでしょうから、基本的に初めはアスファルトルーフィングが付いていると考えて問題ないかと思います。
そのため、新築から10年以上経過しているのなら、一度優良な雨漏り専門業者に状態を確認してもらった方がいいでしょう。
雨漏りの修理でルーフィングシートの取り替えは必要?
雨漏りの修理でルーフィングシートの取替えが必要なケースは、劣化して機能が失われている場合に限られます。
他の部分に原因がある場合においては、ルーフィングを取り換える必要はありません。
ただ、悪徳業者はろくに原因も調査せず、ルーフィングの取替えを勧めてくることもあるので注意が必要です。
ルーフィングに雨漏りの原因がないのなら、必要のない工事にお金を使わされることになってしまいます。
しかも、そのルーフィングに原因がないのなら、交換で雨漏りが止まるとは限りません。
雨漏りを確実に修理するためには、原因を詳しく特定することが不可欠です。
ルーフィングの取替えありきで話を進めようとする業者は、悪徳業者である可能性が高いので絶対に契約しないよう注意してください。
ルーフィング選びで抑えておきたい注意点
最後に、ルーフィングシートを選ぶ際に抑えておきたい注意点を確認します。
耐用年数を確認する
ルーフィングシートは屋根材に比べると、何を使うかあまり気にしない存在です。
工事価格を安く抑えて契約を取りたい業者としては、顧客があまり気にしていない部分は安いものを使用したいというところもあります。
そのため、安くて低耐久のルーフィングシートが業者に指定されていることもあります。
後から後悔しないためにも、使用するルーフィングシートをあらかじめ見積書で確認しましょう。
ルーフィングシートは屋根材よりも寿命が長いものを選ぶ
ルーフィングシートの交換には必ず屋根材の撤去が伴います。
瓦を除く屋根材は一度剥がすと再利用できなくなります。
また、いくら高耐久の屋根材を選んでも、ルーフィングシートの耐久性が伴っていなければ、早々に雨漏りが起こって再工事が必要になります。
そのため、ルーフィングシートは屋根材よりも寿命が長くなる組み合わせになるよう選びましょう。
屋根材との相性
屋根材によって、使用できるルーフィングシートや相性の良し悪しがあります。
そのため屋根材にあったルーフィングシートを選ぶことが大事です。
ルーフィングの点検は株式会社エースにお任せください
ルーフィングの状態は、屋根材をめくってみないと確認できません。
悪徳な業者を屋根に上げると何をされるか分からないので、優良業者に点検を依頼することが不可欠といえるでしょう。
もし、訪問販売などで「屋根を無料でチェックする」などと言われても、必ず断るようにしてください。
豊中市周辺で雨漏りお悩みなら、一度私たちエースに相談してみてください。
急な雨漏りなど緊急の対応にも備えており、豊中市なら1時間以内に駆けつけます。
もちろん現場では、資格をもった優秀なスタッフが対応いたします。
雨漏りの知識が豊富で確実に修理できますので、お気軽にお問い合わせください。